電解液はNaI水溶液か

電解中の液抵抗を下げるために、強電解質物質が電解液中に溶けているべきであるが、一般的に思い浮かぶNaClでは塩素イオンが、原子炉建屋鉄部材に強く作用するであろう。その点、ヨウ素イオンなら鉄に対する作用が穏やかであると思われる。また、NaIは、NaClよりも溶解度が大きく(モル換算でもNaIの方が多く溶ける。)液抵抗低下のために望ましいと思われる。電解に伴うウラン濃度変化を調べなければならないが、そのために電解液は管理されている必要があり、電解液として、天然の海水は不適当であろう。

なお、主たる電解質として、強電解質である酢酸ナトリウムを考え、電解液を弱アルカリ性としたら、鉄部材に対する電解液の作用は、より穏やかであろう。しかし、ウランが電解で液中に溶け出た際、ウランの水酸化物が生じて沈殿し、ウランの回収が行えないおそれがある。特に、多量の電解質や連鎖反応防止のためのホウ素化合物の存在下では、塩析効果によってウランの水酸化物が沈殿しやすいであろう。従って、中性~弱酸性下での電解が望ましいと思われる。