汚染処理水からのトリチウム分離の続き

原発汚染水から、水素の放射性同位体であるトリチウムをできるだけ経済的に分離する方法について考えてみた。

水素は軽水素とも呼ばれ、同位体として二重水素(通常、重水素という)と三重水素トリチウムのこと)があるが、水を電気分解した場合、発生する水素ガスは、初めのうち大部分が軽水素ガスで、長時間経過後に重水素ガスが発生するようである(このことは、例えば、東京化学同人から出版されている「ヘスロップ ロビンソン 無機化学(上)第3版」(1969年)の275頁付近に記載されている。)。三重水素ガス発生は、重水素と同じか、又はもっと遅れて発生するものと思われる。つまり、お金と時間をかければトリチウムを、トリチウムを高濃度に含む水等として分離できるわけである。

さて、発生した水素ガスの爆発を防ぐためには、燃やして水蒸気(やがては、液体の水になる)として放出することでしょうが、これでは発生した水素ガスの有効利用ができない。それで爆発を防ぐため、とりあえず窒素ガスを混入し水素濃度を20%程度にして貯蔵し、燃料電池系や水素エンジン系に対しては、ろ過法等により水素ガスのみを導入することが考えられる。一方、水素ガスと分離された窒素ガスは、電気分解で発生した水素ガスに再び混入させるという形で循環利用。

以上が、電解法によって少しでも経済的にトリチウムを分離除去するための方法の概要である。