電気泳動

ウランのアノード溶解は、ウランを単に溶かすだけでなく、ウランのプラスイオンをカソード側へ泳動させるということにも意味があると思う。滞留をできるだけ起こさないようにするためである。とにかく、ウランイオンが漂出しても問題ないよう、デブリの冷却水は外部に漏れたりしていないことを祈る。

電解液は海水でよいか

要は、単なる水の電気分解とならないように電解液の検討が重要。デブリの冷却を循環液で行うため真水が利用されているのかもしれないが、真水では電気抵抗が大き過ぎるであろうから海水の利用が考えられる。そして、海水によるスケール付着にも耐える循環ポンプ等の使用である。スケール付着の影響が大きいようなら、電解液は多少酸性の方がよいであろう。また、臨界防止のための一定濃度のボロンの存在。

いずれにしても、デブリに見立てたウラン含有物を準備し、電解試験を行ってもらいたい。カソード側では、水素発生が主な反応であろうから換気に注意する必要がある。デブリ側でウランがイオンとなって液中に漂い出れば第一段階は成功である。そのための電解条件の検討である。

デブリ側電極の検討

デブリ表面の一部に水銀を付着させ、部分的にアマルガム化させる。

アマルガム化した部分を白金製のクリップではさむ。あるいは白金製の釘を押し込む。

③上記の白金には、フッ素樹脂で被覆された銅線が接続されている。白金の一部もフッ素樹脂で被覆され、銅線は液と接しないようにする。

(理由)

ウランの標準電極電位(イオン化傾向の目安のようなもの。マイナス側に大きいほど、その金属は水素ガスを発生しながらイオン化する傾向が強い。)は、

U→U(3+)+3e(-)     で、-1.789V

一方、水銀や白金では

2Hg→Hg2(2+)+2e(-)  で、+0.788V

Pt→Pt(2+)+2e(-)    で、約+1.2V

従って、ウランの方が水銀や白金よりもイオン化しやすく、電気を流した際、ウランよりも先に水銀や白金が溶け出てしまうということはない。

また、金、銀、銅は水銀とアマルガムをつくるが、白金はアマルガムを形成しないようなので、安定した電解を継続できるものと思われる。

 

追)2017年4月3日の記事のように、フッ素樹脂は放射線での劣化が考えられ、使用できないかもしれない。-

 

 

 

 

デブリをアマルガム化できないか

デブリに水銀を接触させて電極を形成することが考えられる。水銀が嫌ならガリウムも考えられよう。ところで、デブリアマルガムにし流動するようにしたら、デブリを機械的に回収できるようにも思う。

デブリ表面は酸化膜になっていると思われるが

デブリ表面はウラン等の酸化膜になっていると思われるが、1000℃以上ではウランは窒素とも反応するようであるから、窒化膜も考えられる。いずれにしても不動態膜でデブリが覆われているかもしれない。金電解のように、交流も取り入れてデブリを電気溶解することになろう。

東京電力の見解では、核燃料が熔け落ちたが臨界は生じないであろうと

臨界防止のためのボロン濃度は?ウラン錯化合物を考えるまでもないか。核燃料デブリに電極を接触させる方法が、皆様の腕の見せ所か。

原発処理考

私は司法書士ですが、エネルギー問題に関心があります。それで、原発事故処理の勉強会をつくり、有識者と意見交換したり、役所からデータ提供を受けるなどのことを実現したいと思っています。

私は電気化学屋でしたから、核燃料に電気を流してアノード(電子が電源に向かう方の電極)溶解させ、ウランがプラスイオンとして液中に漂い出るようにし、一方、反対側のカソード(電子が外部に出る方の電極)にはウランが電着するようにしてウランを回収するというようなことが思いつきます。しかし、液中ウラン濃度が局所的にでも、核分裂が連鎖的に生ずる臨界にでもなれば大変です。添加剤によって、臨界にならないようにすることができるのかもしれませんが。

皆様と考えていきたいと思っています(H29年3月19日)。

 

追)核燃料は、とりあえず単体のウランと考えています。二酸化ウランと考えての検討は、H29年4月7日の記事から。

また、デブリ中のウランを電着回収せずとも、ウラン含有液として回収できれば一応管理状態にあると言えるようになるでしょう。