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鉄枠のアノード溶解防止

ウランのアノード溶解中に、原子炉やその支持部材の主体であろう鉄鋼(鉄と炭素の合金)中の鉄もアノード溶解し、崩壊することが心配される。ウランと鉄の標準電極電位は、

U → U3+ + 3e-     (酸性溶液中での標準電極電位:ー1.789V)
Fe → Fe2+ + 2e-       (酸性溶液中での標準電極電位:ー0.4402V)
であり、アノード過電圧が両者で同程度なら、低電圧でウランがアノード溶解を開始し、更に電圧を高くすると鉄もアノード溶解をし始めるということになる。
 実際にどのくらい電圧をかけたら鉄が溶け始めるかは、カソードとアノード間の距離や液組成などに大きく左右されるため、現場で確認するしかない。具体的には、デブリに接触させる電極構成と同じものをもう一組準備し、その電極については、先端に鉄鋼板を付け電極を押しつけても水銀が漏れ出ないようにする。デブリまで二組の電極を延ばし、鉄鋼板を付けた電極の方で、本格的にアノード電流が流れ始める電圧以上で鉄のアノード溶解が開始するものと思われる。
 問題は、電気の漏れによりカソード電極に近い鉄鋼が、ウランのアノード溶解よりも
低電圧で溶解し始めないかということである。液中配線の外側は絶縁確保のためセラミックス繊維やプラスチックスで被覆した鉛管の使用等が検討されることになろう。
また、液中の鉄イオン濃度を大きくして電極電位を上げ、鉄のアノード溶解が生じ難いようにすることである。
 ウランがどのくらい電圧からアノード溶解を開始するかであるが、あまり試みたくないことではあるが、前述の電極構成において、鉄鋼板の代わりにUO2やU3O8の板状物を
付けたものを準備し、同じようにデブリまで電極を伸ばして、最初、カソードとしてウラン酸化物をウランに還元し、次に電流の向きを反対にしてアノード電流が本格的に流れ始める電圧と考えられる。なお、水の電気分解と区別するため、デブリ近傍に電極を浮かして水の電気分解を行った場合の開始電圧を確認しておくべきべきであろう。