原子炉建屋の底外部に受け皿がほしい。

原子炉や放射性物質が付着した建屋を解体して撤去する場合、取り残しが無いようにするため、建屋の底外部にコンクリート製の受け皿を準備しておきたい。受け皿設置に際しては、建屋全体を上部や側面外部から支持しておくものとする。なお、この受け皿は、クレーンによる吊り上げ移動ができるように、被吊り上げ治具を備えたものとする。

ホウ素含有クーラントをデブリの機械的取り出し時に使用

デブリ機械的に取り出す際、粉塵の舞い上がりを押さえるためと思うが、散水するとのことである。この水には、連鎖反応を引き起こす熱中性子(thermal neutron:減速して運動エネルギーが小さくなった中性子)を吸収するためのホウ素が含まれることになろう。

デブリへのホウ素含有冷却水の供給を停止した場合、崩壊熱によって水分が蒸発し、ホウ素含有物がデブリ全体を覆うのではないかと想像する。ホウ素の融点は2300℃であるが、ホウ酸の融点約185℃、酸化ホウ素の融点約577℃(理化学辞典等による)とのことで、放置しておくとホウ素含有物による被覆が流れ出してしまい、デブリが熱中性子と作用してしまう危険が生まれる。そこで、デブリ表面が高温にならないうちに液体窒素を入れて表面温度の上昇を押さえることを提案する。

また、デブリ機械的に取り出す際、ホウ素含有物被覆の無いデブリ面が生ずるが、デブリとの機械的接触部に供給するクーラントにもホウ素を入れるようにすれば、連鎖反応防止に有効であると思われる。

 

 

連鎖反応の防止のため、多孔質炭化ホウ素等でデブリをカバー

ウラン235に1個の中性子が当たると、約2.46個の中性子を発生しながらウラン核分裂し、この発生した中性子が別のウラン235に当たるということを繰り返して連鎖反応が起こると考えられている。デブリを電気溶解した際、ウランが電解液中に漂い出るが、液中のウラン235の量は少なく液側で連鎖反応が起こる可能性はかなり低いものと思う。むしろ、液中ウラン235核分裂による中性子が、デブリ側に向かった場合、連鎖反応が生じやすくなるであろう。

そこで、中性子吸収材となるホウ素を含む炭化ホウ素でデブリを覆い、液側からの中性子デブリ内のウラン235に当たることを妨害すれば、連鎖反応の防止に有効であると思われる。但し、デブリを炭化ホウ素で完全に被覆してしまうと電解できないので、電解液の出入りが可能なように炭化ホウ素は、多孔質状・網目状・よろい板状等であることになろう。

散水下での気中工法よりは、時間がかかっても電解によるデブリ溶解が安全では

気中工法でのデブリ回収とは、格納容器壁からデブリ機械的に削りはがして真空吸引するとかコンベア形式で格納容器外に搬出するということであろうか。この工法では、デブリが冷却液に浸かっていては削り取り作業が進まないとして冷却液の供給を止め、デブリ周辺の冷却液はウランの崩壊熱で蒸発させてから散水下で削り取ろうということであろう。しかし、振動や熱によって格納容器が破壊してしまわないか、心配である。

気中工法では、格納容器の横穴からロボットアームをデブリまで延ばすことを考えているようであるが、ロボットアームに、デブリに接触させる電極とその配線を取り付けて電極をデブリに接触させ、デブリを電解用冷却液に浸けたままデブリ中のウランを溶かし出す方法のほうが安全であろう(電解用冷却液の供給は続け、オーバーフローする液中に含まれるウランを循環系統から回収しようというものである。)。デブリ用電極と反対電極の白金やカーボン電極は、他のロボットアームを使って設置することができよう。

 

 

格納容器からの漏水受け材の材質

新聞記事によれば、格納容器底部のデブリ近くの水は熱水になっているということで、想像するに、循環冷却水が上から降り注ぐ形で供給されるが、デブリまでには十分に行き渡らず、大部分は直ちにオーバーフローして循環系統に戻る形になっているものと思われる。

従って、デブリ近くからの漏水がある場合、その漏水の受け材としては、耐熱性や耐放射線性も必要である。デブリを硝酸で溶かす場合の耐薬品性も当然必要として、考えられる材質は一般的には炭素材料であろう。そして、黒鉛質の炭素材料がより望ましいということになろう。但し、酸素とは反応しやすいはずであるから、高温で大気とあまり接することが無いように、この漏水受け材付近も窒素等の不活性ガス雰囲気となるようにしてもらいたい。

 

デブリ回収の段取りとして

デブリに電極を付けて電解還元や電流の向きを変えてアノード溶解を行うというのは、デブリ中のウランをできるだけ選択的に溶かし水溶液として回収しようというものであるが、デブリだまりがあると思われている格納容器底部の耐酸性が十分ならばこのような面倒なテクニックを駆使しなくても、硝酸で溶かしてしまえば簡単なことである(当然、臨界防止のためのホウ素存在下で。)。

報道によれば、格納容器のあちらこちらに穴が開いていて冠水方式が採れないとのこと。もし格納容器底部にも穴ができていたら、冷却水循環系統からデブリに接した水が常時漏れ出て、各所に散らばり管理できていないことになる。

気中工法実施中も冷却水を供給し続けることになろうが、振動によって穴が大きくなるかもしれないから、格納容器の底部分を含む下部全体をカバーする冷却水受けを事前に設置してもらいたい。気中工法で回収しきれなかったデブリは、硝酸で溶かすということがあるかもしれないから、冷却水受けの材質は対硝酸性であることが望ましい。

 

 

気中工法では臨界とならないのか

気中工法の利点の一つとして、冠水法では臨界があるかもしれないが、気中工法では臨界に達する可能性が低いということかもしれない。

しかし、散水しながらデブリを破砕していくようであるから、デブリ片の分布状況によっては、一時的にでも臨界状態を形成するかもしれない。そのように考えるほうが正常な人間の感覚であると思う。

とにかく、臨界に備えて、住民の方々にはしばらくの間、遠方に待避していただき、その間に作業をするという工程を組んでもらいたい。政府で、一時待避者の範囲を決めるかもしれないが、対象外であるが待避を考える自主待避者もおられるであろうから、作業開始の少なくとも半年前には、作業開始日が周知されるようにすべきと思う。